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作土形草花文様金襴(鶏頭金襴)(前田家伝来名物裂のうち)

不明14th Century

京都国立博物館

京都国立博物館
京都市, 日本

日本において、織物の先進地である中国からもたらされる染織品は、常に憧れの品であり、手本でもあった。古代に舶載された品は、法隆寺や正倉院の宝物の中にまとまった形で見ることができるが、中世・近世にもたらされた染織品は、袈裟などの宗教染織品や茶の湯で用いる名物裂(めいぶつぎれ)という形で伝えられ、各所に分蔵されている。
 そのうち名物裂とは、茶の湯で用いる掛物の表装や茶入の仕覆(しふく)(袋)として用いられ、それ自体が鑑賞の対象とされた染織品をいう。京都国立博物館所蔵の名物裂は、江戸時代の大名である加賀前田家の旧蔵品で、3代藩主・前田利常(としつね)(1594~1658)が、家臣に命じて京坂や長崎で買い求めさせたことが蒐集の始まりと伝えられ、「二人静(ふたりしずか)金襴」「遠州緞子(どんす)」といった著名な名物裂をはじめ、さまざまな種類の染織品を含んでいる。
 ここにあげた鶏頭金襴は、地面から生え出て花開く植物を鶏頭に見立て、この名があるという。綾組織(あやそしき)で金糸を地絡(じがら)みとする点、裏面で金糸の下になる緯糸(よこいと)を間引く点などに、金襴の中でも古様な製織技法を見ることができる。褪色が著しいが、裏面には鮮やかな赤紫色をとどめており、本来は蘇芳(すおう)染めであったと考えられている。

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