『ハート・マハル』は、1996年にコペンハーゲンで開催された展覧会「コンテナ96」で発表された。もともと彫刻家であるドゥリヤ・カージー、デイヴィッド・エルスワース、エリザベス・ダーディーと写真やコンピューターを用いた作品を作るイフティハール・ダーディー、そして様々な職人たちとのコラボレーション作品である。4作家のアイデアやドローイングを、照明・板金・絵などの職人の技を通して作品化した。鮮やかな絵に彩られた入口は薄暗いが、一歩中へ入ると、正面にある心臓型の電飾が強い光を放っている。スチールパネルに覆われたコンテナ内は、反射した光に包まれ目映い。側面部はアイロンや靴、ミッキーマウスなど日常生活の中のモチーフが花模様とともに板金してある。華やかで楽しく、かつ荘厳ささえも醸し出す空間。ここは、美術と大衆文化の間にある境界線を取り去る目的で作り出された、神殿なのである。