平安時代初期。黄金を求める大和朝廷の度重なる蝦夷侵攻に、人間の誇りをかけて戦い続けた蝦夷の首領 阿弖流為。
戦いの度に朝廷軍を大敗させてきたが、延暦二十一年(八〇ニ)、北上してきた征夷大将軍坂上田村麻呂が胆沢城(岩手県)を造営し始めると、これと戦うこ となく、同志の母礼と共に一族を率いて投降した。人心の懐柔や、仏教文化の伝播に努めた田村麻呂との間に堅い絆があり、阿弖流為は身を捨てて平和を選択し たのである。上京後、田村麻呂の懸命の助命嘆願もむなしく、ふたりは斬刑に処せられた。
誇りをかけて守り続けた東北の雄 阿弖流為。北方の守護神毘沙門天の御加護を得、鬼神をしたがえ奮戦するその勇姿に、東日本の復興と、この国の安寧を切に祈るものである。