蒐猟

蒐猟とは、春の狩りを意味するという。本作品は、黒白二頭の馬を駆って二人の女性が狩りに急ぐ場面が描かれている。大正末、毎年のように中国を旅した印象は、中国の歴史や風俗に強く惹かれたのだろう。女性の姿にはどこか中国古代の風俗が連想される。逞しい白馬の手前に描かれた桃の木が春の季節感を出し、春風に衣を翻して駆ける女性の微笑みの表情は神秘的である。抑えた色彩や線による表現が本作を清楚で気品あるものにしている。