1987年から日本に滞在した蔡國強は、火薬の爆発を使った野外作品を日本各地で次々と発表して注目を集め、今やアジア人作家の中では欧米美術界で最も高い評価を受けるようになった作家の一人である。この作品は、福岡での都市空間を使った現代美術展である、1990年の第1回「ミュージアム・シティ・天神」のための作品のプランであり、都心のビルの屋上ヘリポートを使って、当時日本各地で発見されUFO着陸跡と言われたミステリー・サークルを火薬の爆発で再現するプロジェクトが図解されている。プランは実現しなかったが、地球規模の文明史への関心という壮大な思考と、中国人の発明である火薬を使ったスペクタクル性を特徴とする彼の初期作品の貴重な作例である。題名の「天神」は福岡市中心部の地名であり、かつ天の神を意味する。