キース・ヘリングが亡くなった年に出版された5点による版画作品シリーズ。タグともいえるヘリング・キャラクターである。
中でも、はいはいする赤ん坊は主人公役だ。ヘリングにとってベイビーは純粋で、無垢で、善性で、未来への希望だった。またこの主人公はヘリング自身を示唆している。
「ドッグ」はヘリングの作品にたびたび登場し、四つ足の動物を象徴する。吠える犬は行動性や懐疑心を時に意味する。
「天使」は神霊的な存在を示すフィギュアであり、また人間界の権力と混沌とした人生の守護神の象徴かもしれない。
「飛ぶ人間」の胸のバツマークは単に印(マーク)を意味するだけでなく、死やクロス(十字架)やカップリング(結合)あるいは謎の象徴とも読める。
そして「笑う顔」は、三つ目が描かれた最もポピュラーで最も不可思議なキャラクターだ。通常三つ目は貪欲性を意味するが、未知のコスミック・エネルギーの象徴ともいわれている。しかしヘリング自身によれば「特定の意味はない」。