平安時代から江戸時代前期に至るまで日本最大の都市であった京都は、堺の都市的発展や商業・自治・文化にも大きな影響を及ぼした。
洛中洛外図は、京の市中とその周辺の名所風物、町の賑わい等をパノラミックに描いた絵画。室町時代以降、江戸時代を通して制作され、屏風の作例としては現在170件ほどが知られる。
本作は、慶長(1596~1615)末から元和(1615~24)初期の京の景観を描く。左隻に徳川家の権威を象徴する二条城を大きく配する。正門から出発する行列は、将軍となった家康、もしくは二代将軍を継いだ秀忠が天皇の御所に参内するようすを描いたものだろう。右隻の右上隅には、豊臣家の記念碑的建造物である大仏殿や豊国廟を圧するかのように、慶長八年に徳川家康が将軍宣下を受けた場である伏見城がそびえる。メトロポリタン美術館所蔵「洛中洛外図屏風」(バーク・コレクション)等、本作と図様の共通する作例が知られる。