田善の江戸名所銅版画では最も小型のシリーズ。現存では25種の図様が知られているが、その全てが亜欧堂田善その人の作品とは考えられず、いくつか明らかに別人による描画が見られる。
本図は一見、他の銅版江戸名所図と同じく亜欧堂田善の作品のようにみえるが、前景の座敷に着座いている人々の、上半身が異様に間延びしたプロポーションが、同様の風景を描いた「自大槌屋後楼臨不忍池図」と大きく異なっている。提灯等に見えるカタカナの表記も田善の基準作と異なるが、須賀川に現存する本図の原版が田善作の銅版の裏面に彫られていることから、後世の悪意ある贋作とも考えられず、田善とほぼ同時代の門人による作品と推定される。
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