初代天皇・神武天皇は鵜葺草葺不合命の子で、即位前は日本磐余彦尊と申し、兄の死に伴って皇太子の座に着いた。日向国の高千穂宮に住む磐余彦は、全土を 王化し都を築く為、兄五瀬命と共に海路数年を経て、浪速国に上陸した。その後、大和に向かって進軍するが、道が険しく先へ進めず東に軍を向けて中州へ入ろ うとしたが、この地を支配する長髄彦の抵抗を受けた。五瀬命は賊の流れ矢に当り死去し、磐余彦は、やむなく御舟し紀伊の熊野に上陸した。千古の老樹生い茂 る中を進軍出来ずにいた時、八咫烏が現れ、その導きによって吉野の川筋に着いた。ここで敵軍と激戦となり苦戦が続いた。すると一天俄かに掻き曇り、黒雲が 天を被った。その時、一羽の金色の鵄が現れ磐余彦の弓の先に止まり、鵄は、激光を発し長髄彦の軍は忽ち目が眩み、戦意を失い降伏し無事東征することが出来たという。