神楽は、日本の民俗芸能の一つで、祭のとき神前で行われる歌舞である。演目は、神話を題材とするものが多く、舞手は面と衣装を身に着けて神に扮する。本資料は明治時代から武蔵一宮氷川神社で神楽を行っていた中本家に伝えられた「中本家神楽師用具」257点のうちの1点で、神楽衣装である。「中本家神楽師用具」の神楽衣装は散逸せずに保存されており、そのまま一座を上演できる構成を保っている。この資料は、三番叟(さんばんそう)を舞う時に着装する「千早(ちはや)」という上衣である。背と袖に鶴、亀、松、竹、梅など、縁起の良い模様を金襴(きんらん)で表現している。埼玉県指定文化財。