狐の面は、狂言「釣狐」の後シテにのみ用いられる。「釣狐」は、猟師に一族を捕らえられた老狐が僧に化け、殺生をやめるよう猟師を説得するが、その帰り道、好物の餌が付けられた罠に、それと知りつつかかってしまうという話である。
狂言師の修行は「猿にはじまって狐に終わる」と言われるように、「靱猿」で初舞台をふみ、「釣狐」で芸と技術の取得・達成を証明する。
元利寿満(げんりかずみつ)は、江戸時代中期の面打師で弟子出目家2代。寿満は号を元利・通称を浅右衛門と称し、越前出目家から分離独立した弟子出目家初代栄満(よしみつ)の子である。