蓮池図

橋本雅邦は江戸に生まれ、狩野勝川院雅信（しょうせんいんただのぶ）の門下で塾頭として活躍。東京美術学校（現・東京藝術大学）絵画科教授、日本美術院創立主幹を歴任し、横山大観、菱田春草、川合玉堂ら幾多の俊英を育成した。この作品では、蓮葉の質感を濃淡豊かな墨調で巧みに表現し、蓮花は胡粉（ごふん）で彩色して清浄さと荘厳さを際立たせている。一羽の鶺鴒（せきれい）が画面に動きをもたらし、うっすらと背景に施された金彩は画面に一層の奥行きと拡がりを与えている。