私邸の室内で着用されたゆったりとした室内着。異国情緒溢れる色と柄の表地は、西洋の市場向けに中国で製作されたテキスタイルを使用している。
オランダ東インド会社が持ち帰った日本の着物や夜着は、ヨーロッパで紳士用室内着として愛用された。高まる需要に対して輸入数が少なかったため、インド製の更紗や中国製のテキスタイルで作られたものも登場する。これらは総称してオランダで「ヤポンセ・ロッケン(日本の部屋着)」、フランスで「ローブ・ド・シャンブル・ダンディエンヌ(インド更紗の室内着)」、イギリスで「バニヤン(インドの商人)」と呼ばれた。異国趣味や希少価値も手伝って、17、18世紀の上流階級のステイタス・シンボルとなった。
室内ではシャツとブリーチズの上にこれを羽織り、外出用のかつらを取り、キャップをかぶった。室内でのくつろぎ着は、親しい人を招くとき、午前中の散歩などにも着用が認められ、肖像画にも残されている。