6幅から成る両半球世界図と天文学・地理学的知識を記載した両端2幅の計8幅一組の大型世界地図。現存しているのは、非常に少ない。木版に色鮮やかに彩色され、大陸には珍しい動物が、また海洋部分にも船と海獣が描かれている。北京で刊行されたもので、軸端のない「中国装」と呼ばれる表具がなされている。江戸時代の日本では、この地図を直接手本にした世界図は現在見つかっていない。しかし、中国と朝鮮では19世紀に入っても再刊行された。
作者の南懐仁とは、イエズス会士のベルギー人宣教師フェルナンド・フェルビースト(1623~88)の中国名である。彼は1659年中国に入り、布教活動だけでなく、西洋の暦法・天文学・測量学・地理学を中国に伝え、その分野でも活躍した。