鈴木其一は、江戸琳派の画家酒井抱一(松平不昧と懇意だった姫路藩主酒井忠以の弟)の弟子である。白と薄紅色の穂を付け、しなやかに枝を垂れる萩が、夜風に揺られているさまが描かれている。楕円形に欠けた月が浮かぶ、絹地の画面全体に銀泥を掃くことにより、鈍く柔らかい月光に満たされた無限の空間をつくりだしている。萩の花房と葉を、色調を変えながら緻密に描き分けるところに、其一の繊細な感覚がうかがえる。
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