安土桃山時代から江戸時代初期にかけて日本に来航したポルトガル人やスペイン人は南蛮人と呼ばれた。南蛮屛風とは彼らの来航の様子を描いた屛風のことをいう。
本作は、向かって左隻に入港する南蛮船と荷揚げの風景を描き、右隻に船長(カピタンモール)を中心とした商人の一団がイエズス会宣教師たちに出迎えられる場面を描く。この邂逅の様子を、日本人の男女と子どもの一団が座して眺めている。画面右方には反物などを売る店が軒を連ねる。南蛮屏風は現在70件ほどの作例が報告されており、珍しい品々をもたらす南蛮船を描いた屏風は、宝船のような招福の縁起物とみなされて人気を得たものと考えられている。本作は山形県宝幢寺に伝来し、その後、横浜の実業家原富太郎(号は三渓。1868~1939)などの所蔵を経て今日に至る。