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九段錦図冊 第一図「田家耕作図」

沈周15th Century

京都国立博物館

京都国立博物館
京都市, 日本

明時代の蘇州を代表する文人画家の一人、沈周(しんしゅう)(1427~1509)による淡彩の美しさが際立つ山水人物の画冊。「九段錦」と称される所以は、大小さまざまな9図を一冊の画帖に集めたことによる。
 本冊は、清時代初期の高士奇(こうしき)の収蔵品目録『江邨銷夏録(こうそんしょうかろく)』(康熙32年(1693)自序)に著録されている。宋元の大家9名に託した倣古の作で、董其昌(とうきしょう)の跋が附いて、天下の名冊と喧伝された。
 ただし、現存するのは6図のみ。そのなかでも、第1図の「田家耕作図(でんかこうさくず)」と第6図の「蘆汀採菱図(ろていさいりょうず)」に見える小景物の描写が秀逸である。前者は、1人の男が青々とした初夏の畦道を駆け抜ける。尖筆による墨線は柔らかく精緻である。後者は、趙令穣(ちょうれいじょう)の小景図をふまえているが、水鳥のかわりに舟上から菱を採る仕女が朱と青で描かれている。水面にうかぶ蓮葉に加えられた極めて薄い緑とともに、淡彩を効果的にもちいる。題詩は沈周の師にあたる杜瓊(とけい)によるもので、成化7年(1471)の年記をもつ。
 沈周は、字を啓南といい、石田、白石翁と号した。蘇州相城里の人で、生涯仕官しなかったが、詩書画三絶にして、蘇州を拠点とした呉派の領袖として知られた。
 本冊は、清時代末期の官僚・端方(たんほう)が所有しており、大正年間に日本にもたらされたもの。

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