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行乞老人

中原悌二郎1918

東京藝術大学大学美術館

東京藝術大学大学美術館
台東区, 日本

この年日本美術院同人となり、翌年には本作に続く代表作の1つ《若きカフカス人》を発表するが、大正10年(1921)、32歳の若さで夭逝。

 悌二郎は初め画家を志すが、帰朝まもない荻原守衛の作品を見て感動、その後彼との交流を通じロダンを知ったことで彫刻に開眼する。守衛の死後、彫刻家に転じる意志を固めて太平洋画会研究所彫塑部に入るが、大正5年(1916)日本美術院に移り、石井鶴三らと研鑚の日々を重ねることになる。この作品は、谷中の墓地近辺を徘徊していた乞食の老人にモデルを頼み、院の友人の一人で木彫の佐藤朝山のアトリエを借りて制作された。行乞とは僧侶が乞食を行うこと、托鉢の意。老人はもと公卿の出で裕福な暮しをしていたが、道楽が過ぎ落魄の身となった人物だったという。年輪を刻んだ老人の顔が作者の中で発酵した理想的なイメージとして形象化され、細部にとらわれない触覚的な肌合いや堅牢なフォルムの中に、ロダンに啓発された「面による構成」が見事に実現されている。悌ニ郎は秋の院展の開会間際までこの制作を続け、石膏取りは朝山ら仲間三人に急ぎ手伝わせたという。(執筆者:横山りえ 出典:『芸大美術館所蔵名品展』、東京藝術大学大学美術館、1999年)

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