名所江戸百景は歌川広重が1856年から1858年にかけて制作した現在の東京の名所の連作浮世絵。晩年であった広重の死により、二代広重の補筆を加えて刊行された。版元は魚屋栄吉。この作品は、岩槻街道の荒川にあった川口の渡し場を赤羽側から描いている。筏流しがゆったりと下る川向うには善光寺(現在の川口市に所在)がみえる。信濃の善光寺にならい阿弥陀如来を祀り、江戸から多くの参拝者があった。岩槻街道は、中山道から川口の渡しを経て日光街道に合流する道で、警備上の問題で千住大橋を避けた日光参拝の将軍に利用された。