和紙の原料には三椏(みつまた)や雁皮(がんぴ)もありますが、黒谷和紙では主に楮を使っています。その理由としては、楮は三椏や雁皮に較べて、成長が早いことが上げられます。三椏や雁皮ははがきや便箋などの書き物に向いていますが、楮は障子や巻き物といった長いものを漉くのに向いているからです。紙にできるのは原木の5%にすぎないといわれているので、木の成長が早いということはとても重要なことです。楮の苗を作り、秋か翌年の春に本畑に移すと、次の年の秋には収穫できるようになります。霜が降りて楮の葉が落ちると収穫の時期が到来です。収穫した楮は、長さを揃えて蒸し器に入れられます。