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すべてのものに開かれた天国

マニュエル・オカンポ1994

福岡アジア美術館

福岡アジア美術館
福岡市, 日本

マニュエル・オカンポは、都市の落書きかアメリカの俗悪な漫画のような絵画の手法で、スペイン植民地時代にフィリピンに定着したカトリック美術の主題や様式をしばしば引用する。しかし、そこに描き出されるのは聖者や救済の場面ではなく、植民地主義や人種差別という負の歴史遺産と、現代都市の大衆文化とがグロテスクに混在した地獄絵図である。キリストに扮して中央に立つ忌まわしいゴキブリ、ナチスを思わせる鷲の紋章や鉤十字、飲酒などの反道徳的なイメージのすべてが、「すべてのもの」の救済をうたいながらも、実は移民を排斥し第三世界を支配し続ける、ヨーロッパ文化の権力と暴力を暴き出している。それはもはや特定の地域や文化の問題ではなく、異なる文化が対立しつつも共存せざるをえない現在の多文化的な世界の縮図ともいえるだろう。

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