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本作はいうまでもなく、作者の父親による同題の有名な作品(ウィーン美術史美術館蔵)の模作である。ピーテル(子)が描いたこの作品の模写は5点存在するという。そのうち3点は原作に忠実な室内の情景で、本図を含む2点が戸外の情景に変更されている。画面の面積も半分以下に縮小されている。
彼が複数の模作を自由に描くことができたのは、父の作品の数が少ない上に、後世になっても人気の高かった父の作品の需要に応える意味もあったと考えられている。
さて本図では、原作と同じように、画面右手の前景に、戸板で作ったと思われる配膳盤に、オランダ語でヴライと呼ばれるフランドル地方特有のプディングの皿を載せて運ぶ二人の男が描かれている。緑色の幕の下で、髪を長くのばし、冠を被り、黒の礼服に身を包んで坐る若い女性が花嫁である。その他の女性たちは白い頭巾のようなもので髪を覆い隠している。花嫁の両側の婦人は母親と姑で、花嫁の左隣りに坐る3人の男は、花嫁側から順番に、父親かあるいは公証人、フランシスコ派の修道士、村の領主か村長または判事、と推定される。反対側には二人のバグパイプ奏者が立っていて、赤い服の男のほうはご馳走に見とれて吹くことを忘れている。さて、花婿はどこにいるのだろうか。当時の慣習では、花婿は客人をもてなす役割があったといわれ、そうだとすると、画面右手でヴライを手に取りテーブルに配っている茶色の服の男性か、画面左手隅でジョッキにビールを注いでいる黒い服の男性ということになる。更にここには描かれてはおらず、もうすぐ姿を現すところだという説もある。
ジョッキにビールを注ぐ若者の姿は、キリスト教美術の主題である「カナの婚宴」を想起させる。婚宴の途中の酒注ぎという要素からはたしかに「カナの婚宴」の葡萄酒の寓意が隠されているが、この絵の中に描かれる飲み物はやはりビールなのであろう。
また一説では、ビールを注ぐ男とその傍らでヴライの皿を舐める子どもは親子で、「この親にしてこの子あり」またはオランダの諺「は最初に入れた物のにおいがつく」(子どものとき身についたものは変わらない)という意味の寓意との解釈もある。
背景の色づいた木の葉は季節が秋になったことを示している。フランドルの農民にとって、収穫の後の季節は婚礼の季節であった。

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