1968年多摩美術大学大学院修了。斎藤義重に学び視覚と認識の関係を問う作品を制作。68年神戸須磨離宮公園現代彫刻展に出品した《位相−大地》は、戦後の日本美術の代表作として高く評価される。70年ヴェネツィア・ビエンナーレ参加後、71年末まで滞欧。帰国後の73年に環境美術研究所を設立。
1968年に関根は、大地に円筒形の穴を掘り、掘り出された土を同形に積み上げた作品《位相−大地》を発表しました。高さ2.7m、直径2.2mというスケールで完成したこの作品は、凹凸の変化があっても大地の量は変化しないという東洋哲学に通じる思想性や、土という物質のなまなましい存在感により、美術を根源から問い直す同時代の動向に多大な影響を与え、現在でも写真を通じて国内外に広く知られています。この版画作品は、《位相−大地》の写真に、構想を示すドローイングと制作過程の写真を交えて構成されています。書き込みのあるドローイングは、地球に穴を掘り、掘り出された土を積み上げていけば、やがて「裏返しの地球(=反地球の証明)」になるという「思考実験」の過程としてこの作品が構想されたことを示しています。