江戸時代末の安政2年(1855)年10月2日、江戸に起こった大地震の後に刊行された木版多色刷の時事風刺画である。鯰が描かれているため、今の日本では鯰絵と呼ばれている出版物で、220種余り確認されている。この絵は、地震を抑える神・鹿島神宮(茨城県鹿嶋市)の鹿島明神が地震を起こすと信じられていた大鯰を神剣で押さえている姿を中央に配し、その周囲を震災を受けた江戸庶民が囲んで願をかけているようすを描いている。金持は、再び地震が起きないようにと鹿島神に、大工や左官などの職人は、復興事業で金儲けができますようにと地震鯰にそれぞれ願をかけており、震災後の庶民の思惑が表現されている。