版画集「日本風景選集」１筑前箱崎

全36図からなる本シリーズは、1922年から26年にかけて刊行された。実際に現地を訪れ、その写生をもとに九州、中国地方、京都などの風景を旅情豊かに描いた。しかし、制作中だった1923年の関東大震災により、作者は家財とともに188冊の写生帖を失った。震災後は、自ら「描きすぎてくどくなった」と述べたように、より写実的な表現と明るく鮮やかな色調に変化した。