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遠浦帰帆図

牧谿13th Century

京都国立博物館

京都国立博物館
京都市, 日本

「遠浦帰帆」とは、北宋時代後期の文人画家・宋迪(そうてき)が提唱した「瀟湘八景(しょうしょうはっけい)」のうちの一景を指す。湖南省の洞庭湖とその南にある瀟水、湘水の二河川の流域を「瀟湘」といい、李白や杜甫の詩などで人口に膾炙(かいしゃ)した景勝地であった。
 本図は、湿潤な空気感を伝える絶妙な淡墨で江上をゆく帆船とその帆影をあらわしたもの。筆者の牧谿(もっけい)は蜀(四川)の人で、法諱(ほうき)は法常。同郷の無準師範(ぶじゅんしばん)に師事し、西湖の六通寺(りくつうじ)の開山となった。画は殷済川(いんさいせん)に学んだ。
もっとも、中国で早くから牧谿の画は淘汰されており、むしろその多くが日本に舶載されて鑑賞された。本図は、文人たちが思い描いた理想郷を表す一方で、筆墨にたいするその後の日本と中国での認識の違いを端的に示した作品である。
 今日、本図のほかに所在が知られているのは、「漁村夕照図(ぎょそんせきしょうず)」(国宝、根津美術館蔵)など6図で、本図を含めて4図の大軸と3図の小軸に分かれる。足利義満の鑑蔵印「道有」が捺された大軸は、もと一巻であったものを義満が座敷飾りのために切断したとされる。その後、村田珠光、織田信長、荒木村重、松平右衛門太夫、徳川家光、戸田家、田沼意次、松平不昧、吉川家に伝わった。

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