荘厳な輝きを放つ純金製の指輪は、正面中央を菱形状にした金板を曲げて、正面と反対側で接合し、環状に仕上げたものである。正面には4枚の花弁を持つ花文があしらわれ、花弁の間に円環を配し、側面には花弁の先から左右に円環が一列に連なっている。指輪の上下の端は蛇腹状に刻む装飾で縁取られている。花文、円環、蛇腹状の縁取りは、細い金板をそれぞれの形に表して蝋付けという高度な接合技術で貼りつけている。本品のように、正面を菱形状につくり、そこに四弁の花文を表す金製指輪の類例は、韓国慶州にある皇南大塚南墳や路西里二一五番地古墳といった三国時代新羅の王族墳墓の副葬品に集中する。新羅の王族に愛されたデザインをもつ指輪。1500年前の趣を今によみがえらせる逸品である。