沖ノ島には4 世紀から9 世紀の間の自然崇拝に基づく古代祭祀の変遷を示す、ほぼ手つかずの状態で現代まで残されてきた比類のない考古遺跡がある。その奉献品の質と量は祭祀の重要性を示し、東アジアおける活発な対外交流が進んだ500 年間における祭祀の変遷の証拠として、顕著な考古学的な価値をもつ。沖ノ島と共通する祭祀は大島と九州本土でも7世紀から9 世紀に行われた。古代祭祀遺跡を含む沖津宮、中津宮、辺津宮は、宗像大社として現在まで続く信仰の場である。
沖津宮遙拝所は、18 世紀までに成立した「神宿る島」を遥拝するための信仰の場である。5 世紀から6 世紀に築かれた新原・奴山古墳群は、沖ノ島祭祀を担い現在も続く信仰の伝統を発展させた宗像氏の証拠である。