近年発見された蕭白の大作だが、詳しい伝来は不明。画題は、秦の穆公の時の簫 (小さな竹管を編んでつくった一種の笛)の名手で、簫で鳳凰の鳴き声をつくったという簫史と、「塞翁馬」の諺で知られる塞翁を画題とした作品。吹簫と飼馬、それぞれの名手を各隻に描き分けているが、画中の人物はいかにも下卑た蕭白の人物画らしい特徴を示していて、蕭白の面目躍如たるものがある。古代中国の故事を題材とし、また背景に松竹梅が描き込まれているが、何らかの寓意が込められている可能性が高い。 なお、向かって右隻の画題を伯楽と見る意見もあるが、馬に 餌を与える人物が描かれていることからすると、馬を育てる名手と伝えられる塞翁である可能性が高い。