シータ、マリヤム、マーガレット

パキスタンでは独立後まもない1947年から映画製作が始まり、この国で最大の娯楽に成長し、最盛期には年間100本以上が製作された。その中心地であるラホールで作られた映画は、ハリウッド、インドのボリウッドにならってロリウッドと称される。パキスタンでは、映画は現実からかけ離れた別世界と考えられ、イスラーム社会では見られないセクシーな衣装の女性が登場し、自ら男性を選ぶなど自由奔放な行動をすることで、人々に束の間の華やかな夢を与えた。そのポスターは、現在ではコンピュータで処理した写真を使うようになったが、1980年代前半までは専門画家による手描きの絵を使うのが主流だった。印象的な場面を選び、組み合わせ、迫真的に描いたポスターは、写真によるものにはない迫力と魅力をもつ。この作品は、代表的なポスター画家による、女優ラニが双子の女性を二役で演じた映画のポスター。