従来、家康の遺品と考えられていたが、近年の研究によって、三代将軍家光の娘千代姫(二代光友夫人)の嫁入り道具の一部であることが明らかになった。黄金の嫁入り道具は茶道具十一点、香道具十点、調度品六点、合計二十七点が現存する。当初は更に多量な黄金の嫁入り道具が用意されたとみられる。釜は真形小霰で艶消しが施され、鬼面の鐶付が付けられている。風炉は切合せで、蜀江文に葵紋散が毛彫りされ、鬼面鐶付きである。釜は三千百四十五グラム、風炉は七千二十グラムの重量である。台子飾りの道具として、他に台子・水指・建水・杓立・茶入・天目台・天目茶碗・棗・蓋置が揃っている。台子・天目茶碗は木胎を芯にして金の薄板を着せた構造であるが、他は無垢か薄板の貼り合せである。