1958年東京藝術大学絵画科卒業。同年、読売アンデパンダン展に出品。63年赤瀬川原平、中西夏之と共にハイレッド・センターを創設。70年第10回日本国際美術展‘人間と物質’に参加。77年ドクメンタ6に出品。日本の美術界を代表する作家としての評価を確立する。80年代以降は主として絵画に取り組んだ。
1950年代末から反芸術的傾向を強めていた高松は、60年代中頃から、影や遠近法などをモチーフに、視覚から得られる認識と実際に目で見ている像とのズレに注目した作品を制作するようになります。70年前後に発表された「弛み」シリーズも、こうした関心にもとづくものです。この布が正方形ならば、四辺が直線の時は中央のたるみも発生せず、逆に、中央がたるむ時は四辺にもたるみが出来るはずです。実は、この布は、四辺が正方形になり、中央にふくらみが出来るように、立体的に縫い合わされているのです。そのため、正方形の布という認識は、目の前にあるこの布の実像とは決して一致しないのです。このような経験を通じて、私たちが認識している世界と、実際に自分の目で見ている世界には常にズレがあることに気づかされるのです。