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眠る裸女

ジュール・パスキン1928

埼玉県立近代美術館

埼玉県立近代美術館
さいたま市浦和区, 日本

本名ユリウス・モディカイ・ピンカス。ウィーンやミュンヘンなどで素描を学び、雑誌の諷刺画で有名になる。1905年からパリに住み、第一次世界大戦中は渡米し、20年パリに戻ったが、30年に自ら命を絶った。退廃と哀愁が漂う女性像を描いた、エコール・ド・パリを代表する画家の一人である。

木炭によるふるえるような輪郭線と、けむるようにぼんやりした薄塗りの絵具とが混じりあっている作品です。淡い黄、青、セピアなどのタッチが微妙に変化して、やさしいニュアンスをかもしだし、全体に透明感があります。そのため、しどけなく横たわってまどろむ女性は、ベッドというよりは雲のあいまに漂っているかのように軽やかに感じられます。パスキンは、油絵具を使っていても対象に肉薄する存在感のある表現をせず、雰囲気を的確にとらえる素描家としての特質をみせています。このような繊細なスタイルはアメリカから帰国した後に完成され、少女や裸婦を好んで描きました。造形より情感にまさる表現には独特のはかなさが漂い、希望と絶望の間で揺れ動いた彼の一時代を彷佛とさせます。

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