Loading

ラ・トゥールは、長い間スペイン派やイタリア画家などの作品群に紛れ込んでいて、20世紀初頭までは忘れ去られていた画家であったが、1930年代になって研究が進み、近年ようやく再評価がなされ、17世紀フランスの偉大な画家としての全貌が明らかになってきた(2005年3月に日本で初めてのラ・トゥール展が国立西洋美術館で開催された)。
本作は1973年5月にフランス南部で発見され、同年、ピエール・ローザンベールとフランソワ・マセ・ド・レピネによって出版された『ジョルジュ・ド・ラ・トゥール』の中で、作品番号53として世に初めて紹介された作品である。ローザンベールとクリストファー・ライトは、汚れていた画面に洗浄を施した後のこの作品を実見し、二人ともラ・トゥールの最上の作例であるという点で見解が一致した。ジャック・テュイリエをはじめ、その他の研究者の意見も同様である。約40点(日本国内には2点[1点は国立西洋美術館所蔵《聖トマス》])しか現存しない真作の1点。ただし、ライトを除くほとんどの研究者が、彼の息子エティエンヌとの共同制作の可能性を指摘している。
しかしながら、画面全体を支配する均衡の美しさ、立体感あふれる描写の力強さ、仕上げの繊細な質の高さ、そのどれをとっても、人はこのラ・トゥールの絵画世界に感動せずにはいられない。鋭い写実主義とカラヴァッジオ風のドラマティックな明暗法によって、煙草を吸うという風俗画のテーマでありながら、まるで宗教画のような深い精神性に満ちた表現を感じさせる。燃え木の光に照らし出された静謐な画面は、来るべき17世紀フランスの古典主義絵画の到来を感じさせてやまない。

Details

Get the app

Explore museums and play with Art Transfer, Pocket Galleries, Art Selfie, and more

Recommended

Google apps