仁阿弥道八(1783~1855)は初代高橋道八の次男。中国・朝鮮・安南や、仁清・乾山などの京焼を写しながら独自の作風を確立した。仁和寺より仁の一字を、醍醐三宝院より阿弥号を拝受し、仁阿弥道八を号した。各地の御庭焼にも関与し、数多くの名品を残した。
雲錦鉢といえば仁阿弥道八作というほど彼の得意とした意匠であるが、同じ意匠でも口辺の切れ込んだもの、四方のもの、浅いもの、深いもの、大小様々な変化がある。
この作品は、四方形として、内外面ともに深く鮮やかな色釉で、桜と紅葉を全面に描く。胎土の一部はほんのりと赤味を帯び、口縁や高台など丁寧に仕上げられている。