この砂糖壺と揃いのティーポット、ティーカップとソーサー、パン皿の4種31個が残る。柳川の立花伯爵邸西洋館竣工にあわせて、明治43年に注文されたもので、正餐のテーブルを離れて、書斎や遊戯室で供されるティーセットであろう。底に、染付で深川製磁の商標である「富士山に流水」のマークが入る。
デザインは、縁を飾る金彩の瓔珞文に空色に近い明るい呉須(酸化コバルト)で「祇園守り」の定紋を入れ、金彩で輪郭線を引いたモダンな感覚の一揃いである。古伊万里の古典的な瓔珞文は、花弁のような金彩の線描の中に葉団扇風の扇文と剣先風の文様で交互にうめられている。白地に金と明るい青の組み合わせは、品格があり、かつ清々しい。