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千手観音香合仏

不明12th Century

京都国立博物館

京都国立博物館
京都市, 日本

身と蓋からなる印籠蓋(いんろうぶた)づくりの円形の仏龕(ぶつがん)で、そのかたちが香合に似ることから香合仏とも呼ばれる。僧などが旅行の際に携帯し、礼拝するためのものであったかと想像される。身、蓋ともに白檀(びゃくだん)から彫りだされており、作られた当初は、開くたびによい香りが漂ったことだろう。
 身には坐像の千手観音を彫出する。ただし実際には千本の腕を彫っているわけではなく、胸前で合掌する手(これを真手という)に加えて、40本の脇手によって千手をあらわしている。一方の蓋には、上方に横笛と笙、中央に雲に乗った火舎香炉(かしゃこうろ)を置き、その左右に女神形の功徳天(くどくてん)と老相の婆藪仙(ばすうせん)を、いずれも高浮彫であらわす。功徳天は吉祥天のこととも弁財天のことともいい、婆藪仙はおそらくインドのシヴァ神に源流を持つ仙人で、修行者の姿にあらわされる。本来はインドの神々であったが仏教の守護神として取り入れられ、ここでは観音の慈悲を象徴するものとしてあらわされている。
 本仏龕の温和な作風は平安時代後期の特徴を示すが、伸びやかに表現された身体には鎌倉時代の写実的な風も感じられ、製作年代はその過渡期である12世紀末頃かと考えられる。

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