和歌山県橋本市の紀ノ川北岸にあたる名古曽(なごそ)古墓から出土した奈良時代の三彩壺。火葬した人骨を納める骨壺に用いられており、くりぬき式の石櫃に納められていた。当地の有力者の墓とみられている。三彩は中国唐代に盛行したやきものであるが、この壺はその技術をもって日本国内、おそらく近畿地方で製作されたものである。その壺は同時期の須恵器薬壺に形が類似し、その素地は赤褐色を呈している。壺の表面に白色・緑色・褐色の3色がかけ分けられて施釉されている。その施釉技法こそが中国伝来の技術である。当時の大陸からの技術受容のありさまを知る事が出来る。さらに完全な形で保管されていることも重要で、日本の奈良三彩の作品を代表する作品ということができる。