簡潔なジャージーのトップに、フープ入りのスカートのセット。19世紀中期のクリノリン・スタイルを連想させ、後に「ミニ・クリニ」と呼ばれた。服装史に造詣の深いウエストウッドは、歴史的な服をカジュアルな素材や独自の裁断法で現代的に生まれ変わらせることで知られ、本品は「パンクの女王」と呼ばれた後の、彼女のデザインの方向性を明確に示している。1970年代後期のロンドンで、マルコム・マクラーレンと共にパンク・ファッションを流行させたウエストウッドは、83年、自らのブランドを立ち上げ、パリ・コレクションにも参加する。80年代後期から、歴史的な衣装や絵画などから発掘した現代的デザインを発表。コルセットやバッスルといった過去の下着を表着化するセクシーでアヴァンギャルド、挑発的な作品は、20世紀ファッションを牽引するものだった。