ユニセックスを標榜したカルダンの1960年代の男性服。前身頃に配置されたファスナーによる打合せは、性差を消す目論見だった。
イタリア生まれのカルダンは1924年にフランスに移住した。テイラー仕立ての技術を習得した後、オートクチュールに学び、53年にメゾンを創設。時代の潜在的な要求を素早く読み取る能力に優れた彼は、59年、プレタポルテに本格的に進出し、後のオートクチュール・メゾンのプレタポルテ進出を先駆けた。60年には、カジュアルな場面での服を除いてテイラーが独占していた男性服の分野に進出。いち早く「ユニセックス」という流れを見抜き、テイラー技術を活かしつつファッショナブルな男性服を提案した。