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維摩居士像

不明13th Century

京都国立博物館

京都国立博物館
京都市, 日本

釈迦在世中の在家信者であった維摩詰(ゆいまきつ)を細筆の墨線のみで精緻に画く。こうした描法の絵画は白描画(はくびょうが)といわれ、本図は古くからその名手である北宋末の文人画家・李公麟(りこうりん)(号は龍眠居士、1049~1106)の筆とされてきた。同じく李公麟の伝称をもつ東福寺蔵の「維摩像」の図像によく似るが、本図の描線が柔和であり、同工異曲にして両図の印象は大きく異なる。
 散華する天女を従えた維摩詰の図像は、『維摩経(ゆいまきょう)』のなかに説く、維摩の病気を見舞った文殊菩薩との問答の一場面である。この場面は、たとえば董其昌(とうきしょう)が李公麟筆と鑑定した金の馬雲卿(ばうんけい)筆「維摩演教図巻」(北京・故宮博物院蔵)などによって、その全体をうかがうことができる。
維摩詰像の多くが李公麟筆として伝称されてきた事実は、白描から墨絵への転換点にいた文人画家が教養あふれる上古の文人・維摩居士を画くという、理想の文人像が二重に投影されているのであろう。
 本図は、江戸時代初期の狩野安信(かのうやすのぶ)による「李龍眠筆」の箱書を伴っており、旧福岡藩主の黒田家に伝来した。

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