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蓮池水禽図

俵屋宗達17th Century

京都国立博物館

京都国立博物館
京都市, 日本

蓮の花咲く池にかいつぶりが泳ぐ。そんな何げない景だが、筆が生命を吹き込んで豊かな世界が生まれている。
 二茎の蓮は、微妙な濃淡によって葉の表裏を描き分けて椀状の形をつくり、右は上方に広がり、左は下方に伏せる。花は、今を盛りと咲く姿と、すでに花弁が散り始めた姿。その対照と対応させて、かいつぶりは、一羽は小波をたてて泳ぎ進み、一羽は足を休めて佇む。時の移ろいや動静、乾湿の対比などが絶妙に表わされている。
 宋元画の蓮池水禽図がいくつか伝わっており、宗達は、それらを元に描いたと思われるが、抑制された淡い墨やきらめくような墨色、柔らかく繊細な筆づかいなど宗達独特の筆墨によって、元のものとはまったく異なる性質の画へと変容し、爽快なビジョンを獲得している。
 画面左下隅に「伊年(いねん)」印のみで署名はないが、完成度の高さからも宗達直筆であることを疑うべくもなく、「たらし込み」(前の墨が乾かないうちに濃度の異なる墨を加えてむらむらを作る水墨技法)を多用していないことから、その比較的早い時期の作とみなされる。であっても、宗達の水墨の極致というべき名品であることは動かない。

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