冬瓜

鈴木不知は、野崎華年とともに当地方における最も早い時期の洋画家である。明治美術会、太平洋画会と移った経歴からも明らかなように、当時のアカデミックな画風を身につけて、この地方に伝え、洋画の基礎を作った。
重厚な写実的表現で冬瓜を描いたこの作品は、不知の技量を遺憾なく示している。
目ひとつひとつまで描き込まれた筵やその上に転がる冬瓜の存在感は、変に技巧
を弄せず真正面から対象を捉えようと努力した結果であろう。
（出典: 名古屋市美術館展示解説カード）