6曲1双屏風の片隻にあたる。対話する二人の武人、眠る老人の横で読書する牧童など、穏やかな雰囲気に満ちた屋外風俗を描く。一見西洋絵画のようにも見えるが、素材は油画ではなく日本的な顔料絵具が使われている。日本で布教活動を展開したイエズス会が運営していたセミナリオで教育を受けた日本人画家による作品と想定される。
この屏風は文禄三年、蒲生氏郷の義妹が、南部利直侯に入嫁の際、持参した道具のひとつとする伝説がある。通常の6曲屏風に比べ一回り小さく、高貴な女性のために制作されたものと考えられなくもないが、各扇の図柄は連続せず、当初から屏風絵として描かれたものかどうかは未詳。