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胸を持ち上げる女

ラヴィンダー・レッディ1998

福岡アジア美術館

福岡アジア美術館
福岡市, 日本

ラヴィンダル・レッディの人物像は、その大きく見開いた目で見る者を射すくめ、戸惑わせる。金箔貼りの肌は伝統的な神仏像を想起させるが、たるんだ体つきや爪や目の際など細部に使用されている鮮やかすぎる赤色など悪趣味な要素が目につく。ヴァドーダラー(バローダ)で彫刻を学んだラヴィンダル・レッディは、大方のインド人作家の例にもれず、イギリスに留学しその技術を磨いた。80年代後半に帰国し、女性の単身像や頭部像、愛し合う男女の像などの人物像を、洗練とは対極の表現で制作する。神聖さと猥雑さ。「インド的」なものの紋切り型ともいえるこの要素を、あえて全面に押し出したその彫刻は挑発的だ。近年、その作品は巨大化する傾向にあり、迫力は増す一方である。この作品は、両手で乳房を抱えたポーズで、より一層挑戦的に、わたしたちが親しんできた「美しさ」とは何かを問うている。

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