黄土

グジャラート州の西北、パキスタンと国境を接するカッチ地方の荒漠とした原野に点在する小屋の内部の情景である。この地の伝統的な刺繍を施した衣裳を身にまとってうずくまる女性はそこはかとない憂愁の念を漂わせているものの、壁面を覆う黄色やそこに描かれた幾何学的な絵の楽しげな風情は、室内の雰囲気を温もりのあるものにしている。カッチ地方は雨季には湿地帯、乾季には砂漠となる過酷な風土だが、ここで描かれているのはそうした厳しさというよりはむしろ、そこで生きる人々の素朴な生活の中に見出される美しさである。