立花家には七代藩主鑑通所用と記される変わり兜がまとまって伝わっており、本作はそのうちの1頭。藩祖の事跡調査や立花家の歴史編纂に熱心であった鑑通が藩祖ゆかりの武具を収集しようとしたものである可能性がある。これらはすべて江戸時代初期頃の変わり兜にみられる特徴を備えており、武家文化の活力を感じさせるデザイン感覚をみせる。頭形鉢に木製で立体的な「大」という漢字を載せ、正面には銀の髑髏を付ける大胆かつ秀逸なデザインである。大の字は、末広がりが吉祥であることから武家に好まれた漢字モチーフであったと同時にこの兜を献上した大澤三入の苗字にも因むと考えられる。