美の壺:江戸前ずし

伝統的な日本料理の一つ、江戸前ずしの歴史と文化を探ってみよう

作成: NHKエデュケーショナル

NHKエデュケーショナル「美の壺」

【江戸前ずし】プロローグ出典: すし匠

すしを握る手元出典: すし匠

鑑賞ポイント① 仕事が醸し出す色気

日本を代表する料理、すし。冷蔵庫や、現代のような輸送手段が発達していない時代に、保存の知恵として編み出されました。

《縞揃女弁慶 安宅の松》東京都立中央図書館特別文庫室所蔵(歌川国芳)出典: 東京都立中央図書館特別文庫室

寿司のお店

この作品は、江戸(東京の旧名)で最も有名で豪華な寿司屋である松ヶ寿司で寿司を求めて手を伸ばす子供が描かれています。握り寿司は、文政時代(1818-1830 CE)の19世紀初頭に開発されました。この寿司の画像描かれている堺屋 松五郎の作ったお店は、当時非常に人気がありました。

《東都名所高輪廿六夜 待遊興之図》神奈川県立歴史博物館蔵(歌川広重(初代))出典: 神奈川県立歴史博物館

お手軽にお寿司を

握りずしは、江戸の海で取れる魚を使ったことから「江戸前」と呼ばれるように。 「早く手軽にすしが食べたい」・・・屋台で、客の目の前で握られたすしは、江戸っ子の気質にぴったりでした。

マグロのヅケ 血合い(左)、大トロ(右)出典: すし匠

準備

江戸前ずしを語る上で欠かせないのがマグロの「ヅケ」。

さっと湯通しした身を、しょうゆだれに漬け、取り出して寝かせると、ルビー色のようなあでやかな色に。

【江戸前ずし】マグロのヅケ出典: すし匠

赤シャリ(左)、白シャリ(右)出典: すし匠

鑑賞ポイント② ネタの下の力持ち

江戸前ずしには2種類のシャリがあります。

白酢(米酢)で仕立てた「白シャリ」と、赤酢で仕立てた「赤シャリ」。 この2つのシャリが、すしの味の基準になると言われます。

【江戸前ずし】シャリ出典: すし匠

煮きりしょうゆを塗る手元出典: すし匠

鑑賞ポイント③ 仕上げのひと塗り

江戸前ずしの仕上げに、塗るのが、煮きりしょうゆです。主にはけで塗られます。煮きりしょうゆは、しょうゆに酒やみりんなどを加えて作られます。煮きりしょうゆをまとって、ネタはより艶やかに輝きます。

ツメを塗る手元出典: すし匠

ツメは、イカや穴子の煮汁を合わせたものから作られます。最初は全くとろみはありませんが、煮詰めると、蜂蜜のようにとろりとした艶やかなたれに。この「煮詰める」ことから 「ツメ」と呼ばれるように。

アナゴ出典: すし匠

ツメは、前に保存しておいた煮汁で煮るのが伝統です。そのため、多くのすし店では、ツメは継ぎ足しながら使われます。創業以来ずっと使い続けられる店もあります。

提供: ストーリー

協力:
すし匠
東京都立中央図書館特別文庫室
神奈川県立歴史博物館

写真:渞忠之

音楽:Ryu (Ryu Matsuyama)


英語サイト監修:
前﨑信也 (京都女子大学 准教授)
マリサ・リンネ(京都国立博物館)

制作:NHKエデュケーショナル

©NHK2017

提供: 全展示アイテム
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