18世紀ファッション(女性)

ドレス(ローブ・ア・ラ・フランセーズ)(1770年代)京都服飾文化研究財団

ロココの女性たち

フランスでルイ15世が即位(1715年)した頃、後にロココと呼ばれる軽妙洒脱な宮廷文化が開花しました。私的な生活を享楽するロココ文化は、衣服を芸術まで高めます。18世紀以降、フランスは女性の服飾流行を牽引し、その地位を不動のものとしました。ロココ期の女性服の神髄はその優雅さ、洗練、装飾性によく表れています。

ドレス(ローブ・ヴォラント)(1720年頃)京都服飾文化研究財団

ローブ・ヴォラント

ローブ・ヴォラントはルイ14世時代末期のくつろぎ着から派生し、18世紀初頭の盛装として流行しました。背中と前身頃に大きくたたみ込まれた襞が肩からゆったりと床まで流れ落ち、ふわりと広がる形状が特徴。

ドレス(マンチュア)(1740-50年代)京都服飾文化研究財団

マンチュア

1670年代から18世紀初頭にかけて流行していたマンチュアは、イギリスでは1730年代から18世紀終わりまで宮廷服として残っていました。ガウン後部に長いトレーンのある構造が特徴。

大柄の植物柄が純銀製の銀糸によって眩いきらめきを放つテキスタイルは、スピタルフィールズ製の絹織物。青い絹タフタと銀糸のコントラストが見事な調和美を生み出しています。

ドレス(ローブ・ア・ラ・フランセーズ)(1760年頃(テキスタイル:1750年頃))京都服飾文化研究財団

ローブ・ア・ラ・フランセーズ

典型的なロココの女性服。ガウンと現在のスカートにあたるペティコート、三角形のパネル状のストマッカーから成り、ガウンは前あきで、背中に大きな襞がたたまれていました。これらはコルセットとパニエという下着で整えた後に着装されます。1789年のフランス革命によって衣服が大変革を迎えるまで盛装として着用されました。

ストマッカー(1760年代)京都服飾文化研究財団

ストマッカー

V字型のパネル状胸衣。最も人目を引く胸部を被うこの部分には立体的で多彩な装飾が施され、装飾に溢れる装いの中でも特に贅が尽くされました。

ストマッカー(1730-40年代)京都服飾文化研究財団

豪華な刺繍やレース飾り、リボン結びの列を並べたエシェル、時には宝石で飾られる。着装はガウンにピンでとめるため、手間がかかりました。

ドレス(ローブ・ア・ラ・フランセーズ)(1775年(テキスタイル:1760年代))京都服飾文化研究財団

地模様のカヌレ織に多色の花束と毛皮柄が精巧に織りだされた見事なテキスタイル。
その質の高さとデザインで名声を誇ったフランスのリヨン製絹織物の技巧の高さを示しています。

ドレス(ローブ・ア・ラ・フランセーズ)(1760年頃)京都服飾文化研究財団

18世紀の女性服は、柔らかく淡いパステルカラーと、レース、リボン、造花などの装飾が特徴。

手仕事の精緻ともいうべき繊細なレースは、最高の贅沢品として衣服を際立たせるのに欠かせませんでした。ガウンの衿から裾を飾るキール、頭を飾ったラペット、袖口のアンガジャントなど、レースが豪華さを演出しています。アンガジャントには何段にも重ねられた豪華なレースから、レース風の安価なドロン・ワークも使われました。

ドレス(ローブ・ア・ラ・フランセーズ)(1780年頃)京都服飾文化研究財団

左右に大きく張り出したスカートは、巨大な天をつく髪型でようやくバランスが保たれています。極限の人工美が、フランス革命前の王侯貴族たちの権力を顕示していました。

コルセット、パニエ、シュミーズ(1760-70年代[コルセット] 1775年頃[パニエ] 1780年頃[シュミーズ])京都服飾文化研究財団

コルセットとパニエ

18世紀女性服の形を支えたのは、コルセットとパニエという下着でした。上半身を形作るためのコルセットは、シュミーズの上に着装され、乳房を高く持ち上げるため、内部に鯨骨が入っています。パニエは18世紀初頭に登場し、フランス革命期まで宮廷服に着用されました。

袖付きコルセット[左] コルセット[右] 子供用コルセット[中](c. 1760 [Left] Mid-18th century [Center] Early 18th century [Right])京都服飾文化研究財団

上半身に付ける一種の胴衣であるコルセットは、下着用に使われる簡素なものと、室内でのくつろぎ用の装飾を施したものがあり、後者には袖付きのものもありました。

ドレス(ローブ・ア・ラングレーズ)(1785年頃(テキスタイル:1760年代))京都服飾文化研究財団

ローブ・ア・ラングレーズ

宮廷以外での衣服の簡素化に伴って、1770年代に女性服は機能的な方向へと進みます。本品に見られるようにドレスの背中の襞はウエストまで縫いとめられるようになり、ローブ・ア・ラングレーズと呼ばれました。

ドレス(ローブ・ア・ラ・ポロネーズ)(1780年頃)京都服飾文化研究財団

ローブ・ア・ラ・ポロネーズ

1770年代に登場した、後ろ腰を釦と紐で持ち上げた三つの襞が特徴のローブ・ア・ラ・ポロネーズ。
フランス革命直前の80年代には、男女共に縦の縞柄の服が広く流行しました。

ドレス(ルトゥルーセ・ダン・レ・ポッシュ)(1780年頃)京都服飾文化研究財団

イギリスからやってきた風習である田園の散歩や戸外での憩いのために、動きやすさを重視した庶民の服から生まれた着こなしが流行します。その一つは、本品に見られるルトゥルーセ・ダン・レ・ポッシュと呼ばれた着装方法。ガウンの裾を両サイドのスリットから引き出し、後ろ腰にたっぷりと襞を寄せてからげます。

ドレス(ラウンド・ガウン)(1795年頃)京都服飾文化研究財団

ラウンド・ガウン

1789年のフランス革命と前後して、ロココの華やかな色彩の豪奢なドレスの流行は、白く簡素なドレスへと変化しました。ラウンド・ガウンはウエストラインが胸まで上昇し、本品に見られるように身頃とスカート部が一続きになったワンピース形式のドレス。

ドレス(ラウンド・ガウン)(1795年頃)京都服飾文化研究財団

洗練の絹から、簡素な木綿へ、その美意識の転換を力強く後押ししたのは1889年のフランス革命でした。綿モスリンの白いドレスは、やがて19世紀初頭、熱狂的な勢いで流行していきます。

ドレス(ローブ・ア・ラングレーズ)[左]、ドレス(ローブ・ア・ラングレーズ)[右](1785年頃(テキスタイル:18世紀中頃)[左] 1785年頃[右])京都服飾文化研究財団

モード商人

基本的には大きく構成が変わらなかった18世紀の女性服において、おしゃれの最も重要なポイントは装飾でした。とりわけ1770年代以降、装飾がますます重要性を増すと、モード商人(マルシャン・デ・モード)が活動する場を広げました。彼らは、18世紀後半には頭飾を含めて衣服に用いられる装飾全般を加工販売し、衣服を飾り立て、被り物を製作し、次々と新しい服飾流行を生み出します。

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