グスタフ クリムト: 旧ブルク劇場の観客席、1888～1889 年

クリムトは、貴族階級やブルジョワジーに属する、芸術、政治、科学といった分野の 100 人を超える著名人が集まった光景を描きました。そこには世紀末ウィーンの上流社会の一幕が精密に描写されています。

クリムトの作品に描かれているのは、舞台から見た観客席です。つまり、オーケストラや役者の視点で見ていることになります。

ここに描かれている人物をご紹介しましょう。

エルンスト クリムト。1864 年 1 月 3 日ウィーンに生まれ、1892 年 12 月 9 日ウィーンで死去。歴史画家。1881 年、兄グスタフ、学友フランツ マッチュとともに「Künstler-Compagnie（芸術家商会）」を設立しました。

カール ルエーガー。1844 年 10 月 24 日ウィーンに生まれ、1910 年 3 月 10 日ウィーンで死去。政治家。

カタリーナ シュラット。1853 年 9 月 11 日バーデンに生まれ、1940 年 4 月 17 日ウィーンで死去。宮廷の専属舞台女優。

エドゥアルト バハー。1846 年 3 月 7 日ポステルベルク（現在のチェコ共和国ポストロプルティ）に生まれ、1908 年 1 月 16 日ウィーンで死去。ジャーナリスト。

アレクサンダー ジラルディ。1850 年 12 月 5 日グラーツに生まれ、1918 年 4 月 20 日ウィーンで死去。

オーストリア大公カール ルートヴィヒ。1833 年 7 月 30 日ウィーンのシェーンブルン宮殿で生まれ、1896 年 5 月 19 日ウィーンで死去。同大公妃マリア テレサ。1855 年 8 月 24 日クラインホイバッハに生まれ、1944 年 2 月 12 日ウィーンで死去。

ツェルリーネ ガビロン（旧姓ヴュルツブルク）。1833 年 8 月 19 日ギュストローに生まれ、1892 年 4 月 30 日メラノで死去。宮廷の専属舞台女優。1850 年にハンブルクのタリア劇場でデビューし、その後ドレスデンの宮廷劇場で活躍。1853 年から 1891 年までブルク劇場の舞台に立ちました。

セレナ ピューリッツァー。1867 年 5 月 20 日ペスト（現ブダペスト）に生まれ、1943 年 3 月 27 日ブダペストで死去。1892 年に実業家アウグスト レデラーと結婚。

クリムトが描いた旧ブルク劇場の絵は、大成功を収めます。ウィーンのキュンストラーハウスが 1890 年に開いた第 19 回年次展覧会には、この絵を一目見ようという人々が 6 万人近く訪れました。また、皇帝フランツ ヨーゼフ 1 世の計らいで、この作品に対しクリムトに第 1 回皇帝賞とドゥカート金貨 400 枚が授与されました。